2008年9月 のアーカイブ

-誰も教えてくれなかった実践英語-

<初級者/中級者のための実践ビジネス英語セミナー

-誰も教えてくれなかった実践英語-

(主催:株式会社イー・セル、協賛:半導体産業新聞)の講義を終えて>

829日(金)に上記のセミナーの講師としてビジネスで使える実践的な英語の学習法に関しての講演を行いました。私の英語の師匠である(株)テクノウェブ 代表 徳永哲士様に理論編の講義をやっていただき、実践編の講師を私が務めました。

私自身、NECに入社以来約30年間英語と格闘してきました。45歳の時に徳永様と出会って、彼の講座と指導を受けながら自分なりに工夫を加えて勉強することによって、The European Solid State Device Research Conferenceのテクニカル・プログラム・コミッティのメンバーとして論文の審査員やChairを務めたり、ドイツの戦後復興の重責を担ったフラウンフォファー研究所やフランスのMINATEC研究所などを単独で訪問し、それぞれの研究所の研究員の方々とディスカッションを行って、記事を新聞に寄稿したりと活動の場が世界に広がったわけです。

私は徳永様と出会うまでは、全くの英語落第生で、数々の英語の講座をやってきましたがすべてうまくいかず、挫折に次ぐ挫折でした。

今回、講演を受講してくださった方々も、とにかく英語に関しては私同様に何度も挫折をされていることが改めてわかりました。

ハリウッドで作られる洋画の70%程度は、私たちが中学校で習う英語でカバーできますし、高校で習う英語を加えると、洋画で使われる英語のほとんどはカバーできるわけですが、それが「聞き取れない」「話せない」というのが実情でしょう。「英語は知っていてもその運用能力がない」ということです。日本の大学受験の英語は、大学にもよるとは思いますが、アメリカのSAT(大学進学適性試験)レベルだそうです。アメリカで全く英語の環境の中で18年間やってきた人が受けるレベルのテストを日本の高校を卒業した人が受けなければいけない。この状況に置かれると、日本の中学校や高校で実際に英語を使う為の運用能力を身につける時間がないのは当然だと思いますし、受験に合格するためのテクニックを身につけるしか方法はないでしょう。

これは、英語だけに限ることではなく数学などにも言えることだと思います。数学は、科学技術に携わる者にとって「物理現象を正確に記述しモデルを作る学問」です。したがって、微分、積分、複素数等々とテーマは色々とありますが、大学に入学するまでに必要なのは、それぞれのテーマの本質を理解することであり、その理解を助けるために問題を解く行為が行われるのが自然です。しかし、現実は「まず問題を解く(問題を解くためのテクニックを身につける)」であり、本質の理解までは手がつかない状況であると思います。したがって「とにかく記憶する」ということに重点が置かれて「ものを充分に考える」ということはほとんど行われていないのではないかと考えられます。私自身が過去、有名大学を卒業した新人に開発のテーマを与えた時に「習っていません」とこたえられて次の言葉を失ったことは1回や2回ではありません。

今までは、英語が使えなくても何とかできたかもしれませんが、これからはそのような甘い時代ではないと思います。また英語だけではなくすべての教科において「問題を解くテクニックを身につける」のではなく「本質を理解し充分考える」ことが必須であると考えます。そうでなければ、「技術立国 日本」は存在しないのではないでしょうか。

今年(平成20年)は時代の節目のように思います。最も重要なことだと言っても過言ではない「教育」についてもう一度原点に返って考えなければいけないと痛切に感じた次第です。

2008年9月1日(月)

吉村 克信