〔北九州通信〕

財団法人北九州産業学術推進機構に2006年4月に赴任し、2大学(九州工大、早稲田大学)と11企業が参加した地域コンソーシアムとしては最大規模である2年間(当初3年間の予定が短縮された)の「超小型一体化高機能部材微細加工技術(ケアMEMS)の研究開発」を事務局長として何とか成功裡に導き2008年3月を持って上記機構を退任しました。

この2年間は、10年間分くらいの経験をしました。NECに26年間在籍してほとんど経験できることは経験してきた私ですが、2年間ほとんど休みの無いような状況で驚くようなことをとにかく“しのいで”ここまでもってきました。NECで多くのことを経験し幅広い人脈を築いてきたおかげで何とかここまで導くことができたと思っています。今は少し充電期間としてゆっくりしています。

日本の場合、東京一極集中は非常に大きな問題点でありますが、なぜそのようになってきたのか?地方を活性化させるためにはどうすればよいのか?等の命題に対して、地方で“泥んこになりながら自分で体験した”おかげでほとんど
理解できたように思っております。細かい点に関しては“リバイバルプラン”を作成して有識者の方々には説明して回りましたが、この場で開示するわけには行きませんし、同窓会のホームページですので、上記の2つの命題に関して多少の考察を述べさせていただこうと思います。(同窓生諸氏に多少なりとも参考になれば幸いです)

まず、北九州(地方といっても良いかもしれません)の最大の問題点は情報の絶対量が東京に比べて圧倒的に少ないことです。おそらく北九州だけで仕事をしている人はそれを感じていないようですが、東京で世界を相手に仕事をしてきて北九州に来るとそれを痛切に感じます。私の場合は一日にメールも100件近く来て、大半は情報媒体からのものですから一応すべて目を通しますし、技術雑誌も海外、国内から来るのをあわせると一ヶ月に10冊以上きますのでそれにも目を通します。また最新技術で良い書籍が出ると購入して目を通します。これくらいやって何とか自分の実力を維持することができるわけです。このようなことをしない人は当然最新の技術動向や世界動向は知らないわけです。
東京にいれば毎日のように専門家であれば無料で出席できるセミナー等が開催されていますし他の情報を得る手段や方法もたくさんあります。したがって“情報を制するものが世界を制する”わけですから東京一極集中にならざるを得ないのが現在の状況では無いでしょうか。

これを如何に打開するか?
明治維新以来の大きな情報革命である“インターネット革命”の波にうまく乗る以外には手は無いでしょう。欧米はテレビ会議やウェブキャスト、最適なデータベースの構築と通信ネットワークを非常にうまく使っています。日本も一日でも早くこれらのシステムを構築すべきです。

地方を活性化させるにはどうするか?という命題ですが、「上記の情報対策」を早急に行うと同時にその土地の持っている固有技術を磨き上げることだと思います。「今、~技術がはやっているから」と思って安易に新技術に手を出してもそんなに簡単に身に付けることができるほど“科学技術”は甘いものではありません。20年~30年かけてやっとものにできるものですから、今まであるその土地の固有技術を磨けるだけ磨き上げ、現在はひとつの技術でものが作れる時代でありませんから、必要な技術を持っているところと“オープンコラボレーション”を行って物を作ることです。ただこれには、今の日本人に最も欠けていると思われる“コミュニケーション能力”が非常に重要になってきます。

各論について書き始めるといくらでも書くことはあるわけですが、“私の体験の同窓生諸氏への簡単なご報告”という意味でホームページに寄稿しました。

2008年4月27日(日)
吉村 克信

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